インターネットすやすや

嘘ときどき現実、見方により法螺話となるでしょう

Only today

「土曜日、ひま?」
「ひま…だと思うけど」
「じゃあちょっと付き合ってよ、妹の誕生日プレゼント選ぶの手伝ってくれない?」
「あー綾乃ちゃん。随分会ってないや。元気?」
「元気だよ、寒くなってきたのに元気に生足出してるよ」
「女子高生は人類最強の生きものだからね」
「兄はもう立ち向かえないよ」
「選ぶのはいいけど、去年もわたしが選ばなかった?」
「そうだっけ?」
「そうだよ」
「まぁ綾乃の事知ってる女友達お前くらいしかいないから必然的に…」
「むしろ誕生日祝いに行くかー、おばちゃんにも会いたいなー」
「来る?来週末」
「うーん、でも来週は無理」
「あー、あいつ、誕生日か」
「そう」
「プレゼント買った?」
「ううんまだ。だいたい決めたんだけど迷ってる。土曜日相談させて」
「俺に相談するほどでもなく、なんでも喜ぶと思うよ」
「プレゼント行為が発生するイベント、付き合ってからはじめてだから緊張しますよ」
「確かになー」
「わたしより長くお付き合いのある方にぜひアドバイスをいただきたく…」
「今週は会わないの?」
「土日どっちも試合だってー」
「がんばってるねえ、あいつも高校でやめるかと思ってたけど俺と違って偉いわ」
「クリスマスわたしバイトだし」
「じゃあ誕生日が勝負だね」
「そういえば、クリスマスどうするの」
「うーん別に…」
「わたし抜きで2人で過ごしてもらってもいいよ?バイト終わったらチャリで合流するわ」
「男2人でクリスマスの街で何をしてろと」
「カラオケ?」
「合コンだったら?」
「それはちょっと困る!」
「予定ないからそれはありかもと一瞬思ったけど、でも明らかにおふたりの邪魔だから自制します」
「早く彼女つくれよー心配だよー」
「そんなこと言われてもなかなか」
「来年の綾乃ちゃんの誕生日プレゼントは違う子に選んでもらってくれ」
「彼女できたらパンケーキ食べに行ってもらおう、男1人じゃ行けない」
「えっむしろわたし行きたい!彼女じゃないけど!」
「わざわざ言わないでも知ってるから」
「恋人同士でも、甘いものあんまり好きじゃない人とは一緒に行けないじゃないですか」
「確かに、並んでまで生クリームと小麦粉食べたくない、とか拒否りそう…」
「そうそう、目に浮かぶよ…」
「じゃあ、あそこ行くか、めっちゃ混んでるらしいけど」
「海の近くの?」
「天気もよさそうだしいいじゃん、砂浜にも出られるし」
「なんでこんな真冬に海…」
「すげー昔に行ったよね、遠足か何かで」
「同じクラスだったとき?」
「そうそう、江ノ電でうるさくて怒られたとき」
「もう10年も前じゃん、じゅ、じゅうねん……」
「ビビるわ、人生の半分を知ってるってことか…」
「長期にわたりいろいろ甘えまくりですみません」
「そう?甘えてられてたっけ?」
「いっつも助けてもらいまくりですが」
「まぁ、とにかく、とりあえず、いてくれればいいから」
「えっ?」
「土曜日、13時に横浜ね」


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