インターネットすやすや

嘘ときどき現実、見方により法螺話となるでしょう

存在しないはずの記憶と思い出をすくって指の間からするすると落とす

映画「同級生」を見た。


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なんだかいろんなものの流れ込み方がすごくて窒息しそうになった。記憶の中の彼等2人がこんなにもこんなにも完璧に美しく映像になっていることにちょっとくらくらした。読んだ当時と今の自分がずいぶん変わっていることも含めてエモい。10年。

特別BLを愛好して追いかけているわけでなくても(読むけど)(このニュアンス人に伝えるの難しい)この作品最初に読んだ時に「……すごい」ってなったの強く覚えてる。何度読んでも感情揺さぶられるし、ラブストーリーとして本当に超好きで完成度の高さを感じる。別にボーイズのラブであることが前提じゃなくて。

さまざまなときめきの要素が詰まりすぎていて死んじゃいそうだった。今好きなもの、これまで好きだったものとつながった。そうだよ、わたしハイカーストの人が好きなんだよ……。


草壁光を草壁光たらしめている、神谷浩史さんというひとはすごい人だな……と生唾を飲んだ。キャラクタがぐわんと立体的になってドキドキする。いや草壁、好きだけど、好きだったけど、こんなに好きなのかと思わされるとは。コミュニケーションの距離感が、間の取り方が好き。原作のあの感じを映像表現でこうしてくるんだぁって思った。ときめくよ。。


「高校生」という概念から発せられる、本当は存在しないはずの記憶と思い出に押し潰される。もしかしたらあったかもしれない。なかったかもしれない。高校生のころの明日世界が滅亡するかもしれないって退廃感、先が見えないし見たくもないブラックホール感、取り巻く環境が狭すぎてほんの少しの言葉や行動でひどく振り回されてしまう感、思い出すとぜんぶ苦しいし絶対に戻りたくない繰り返したくないけど、こうやってフィクションで見ると。ああそういうことだったのかも、って。

お前知ってる?なんか佐条と噂になってんよー、あいつらそういう感じなの?って、そうなん噂なってる?そっかーマジかー、わはは、ところでさー、って会話のリアリティが凄かった。否定も肯定もしない。あるいはできない。別に同性でそういう関係なことを隠したいわけじゃなくて、どう答えても何かが嘘になってしまうんだよな。言葉にしたら死ぬものと立ち上るものがあるのだ。